ソード・ワールド2.5『〈不思議な鍵〉の冒険』

Chasing Starlight

依頼護衛型シナリオ「〈不思議な鍵〉の冒険」

■シナリオ概要

このシナリオは、 “迷宮王国”グランゼールで、冒険者ギルドの依頼によって“〈不思議な鍵〉の調査”を行う『未来を視る異邦人』を護衛し、その調査を達成させることが目的となります。また目的を達成する過程で、グランゼールについての様々の事と、「冒険の結末」を知ることになります。
●セッションの所要時間
本シナリオの所要時間は、ボイスセッションで3~5時間程度です。6時間もあれば、余裕をもってプレイできるでしょう。
●その他
作中冒険者ギルドの描写、NPCのRP等で迷う場合は、本シナリオを作成する際に設定したものを纏めた設定集を確認するとよいでしょう。勿論、設定そのものを各GM・卓で作ってしまっても構いません。また設定集を見ずにシナリオだけで遊ぶことも可能です。
設定集:ソード・ワールド2.5「公開シナリオで遊ぶ際の設定集」

■セッションの準備

このシナリオを遊ぶには、『ソード・ワールド2.5 ルールブックⅠ』(以下、『Ⅰ』)が必要です。シナリオの舞台がグランゼールであるため、よりセッションを楽しみたいのであれば、GMは『スタートガイド 冒険の国グランゼール』(以下、『グランゼール』)の使用を推奨します(但し、シナリオ自体はサプリメントがなくても遊べるようにできています)。
また作中『ソード・ワールド2.5 ルールブックⅡ』(以下、『Ⅱ』)に記載されている「聞き込み判定」(『Ⅱ』P40)が出てきますが、遊ぶ際に『Ⅱ』所持していない場合は「冒険者判定(冒険者レベル+知力ボーナス)」を行うようにGMは指示してください。
このシナリオは、冒険者レベル2~3のPC、2~5人で遊んでください。
●戦闘について
このシナリオは、「基本戦闘」ルール(『Ⅰ』P126)を前提に作成されています。
上記のことから『ソード・ワールド2.5 ルールブックⅡ』以降で追加される「上級戦闘」や「熟練戦闘」ルールの使用は推奨しません。もしそれらのルールを使用する場合、GMは戦闘バランスの調整等充分に注意してください。
また今回のシナリオの最後に行う戦闘は、格上の強敵と戦うものですので、PC2人で遊ぶ際は防護点を下げる等の調整を行っても構いません。
●『侵略者のいる森』から継続して遊ぶ場合
このシナリオは、公開しているSW2.5シナリオ『侵略者のいる森』から続けて遊べます。
継続して遊ぶ場合は、「登場するハーヴェスとグランゼールのギルド(《黄金の神と恋の射手亭》と《手入れのよいランプ亭》)が姉妹ギルドであり双方で同様のサービスが受けられる」、「前回の実績もありグランゼールを訪れたPCたちが特に手続きもなく依頼を受けられる」等、継続する上で遊びやすいように適宜参加者と相談するなどして設定を考えると、物語に継続ならでは要素が加わり華やかになるでしょう。また「ハーヴェスからグランゼールまではギルドが書簡を往来させるため定期的に出している馬車に便乗した」等の理由でハーヴェス-グランゼール間の旅費の負担はありません。
ほかシナリオ中の細かい描写等も継続の状況に合わせて適宜改変してください。

■シナリオの舞台

このシナリオは、”迷宮王国”グランゼール内新市街区希望街に存在する冒険者ギルド《手入れのよいランプ亭》で、PCたちが依頼を受けるところから始まります。
PCたちは何らかの理由で今回の冒険を共にすることになった駆け出し冒険者のパーティーです。

■シナリオ本編

●イントロダクション
“迷宮王国”グランゼール
地下に広がる巨大な”魔剣の迷宮”を中心に発展したこの国は、未熟ながらも熱気に溢れ、街は一攫千金を夢見る冒険者や彼らを種に商売をする人びとで溢れている。
建国以来50年、急速に発展を遂げるこの国は、いまや人口3万人を数える規模の都市国家となっているが、日毎増える人と物に対応しきれていないのが現実だ。国を構成する街区(グランゼールの街は街区という単位で分かれている。現在の街区の数は9つである)はその数を増やし、今では防壁の外にまで拡大して〈守りの剣〉のない街区もあるほどである。
そんなグランゼールは新市街区希望街――増え続ける冒険者たちが暮らす新しい街区、その中心を抜ける唯一の〈守りの剣〉が設置された通り――にある異邦人が訪れた。
その異邦人の名は「クロワール」。
彼女は『未来を視る』のだという。

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シナリオの流れ

このシナリオは、おおむね以下の通りに進行します。
ただし、「3)グランゼール探索」に関しては、GMが『グランゼール』を使用する場合はイベント場所と内容をアレンジしても構いません。その場合は描写等を適宜改変する必要があります。アレンジする際は、最後に西港街区に訪れるところだけは変えずにやると、続く「4)ならず者の襲撃」にスムーズに進行できます。

  1. 導入
  2. “〈不思議な鍵〉の調査”について
  3. グランゼール探索 ①《冒険道具街区》~②《中央迷宮街区》~③《西港街区》
  4. クロワールの誘拐~ならず者との戦闘
  5. 光に導かれて
  6. クロワールの救出
  7. 〈不思議な鍵〉の冒険
  8. 結末

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1)導入

多くの人と物、そして迷宮が集う冒険の国グランゼール。
この国を構成する数ある街区のうちの一つは《新市街区》と呼ばれている。ここは増え続ける冒険者たちが暮らす新しい街区であり、ここには冒険という希望に目を輝かせて街を訪れた者と冒険という挫折に心を折られ街を去る者、そして彼らを顧客とする人びとが入り混じる、冒険の国の出入り口だ。
きみたちはいま、この街区の真ん中を抜ける唯一〈守りの剣〉が設置された中央通り、住民からは特に〈希望街〉と呼ばれている場所に建つとある建物の中にいる。そこは希望街に軒を連ねる冒険者ギルドの一つ、緑の扉の入り口が特徴の冒険者ギルド《手入れの良いランプ亭》であり、きみたちは依頼を受けにきた駆け出し冒険者だ。
ギルドの受付嬢ソフィー・ルール(人間/23歳/女)はきみたちに依頼内容を記した依頼書を示しながら、こういった。
「今回アンタらにやってもらう依頼は、ウチのギルドが“〈不思議な鍵〉の調査”のために招いたひとの護衛よ。そのひとはグランゼールに来たばかりだから、ついでに調査の方も手伝ってあげて頂戴。調査の詳しい方法については、彼女から聞いてね」
ソフィーは受付から、依頼待ちの冒険者らで賑わうラウンジの方へと声を掛ける。すると、きみたちの前に一人の妙齢の女性が姿を現した。
その女性は、きみたちの前に来ると一礼して名乗る。
「皆様方が依頼をお受けしてくださる冒険者様なのですね。はじめまして、わたしはクロワール・ストックと申します。ときに人様から『未来を視るひと』などともいわれておりますが、ここでは“鍵屋”――鍵を扱うひと、という意味でしょう――になるそうです。どうか気軽に、クロワ、とお呼びくださいませ」
そうして自己紹介を終えた後、彼女は依頼の内容やこれまでの経緯について話し始めた。
――“鍵屋”クロワール・ストック、未来を視るひと。
どうやら、『〈不思議な鍵〉の冒険』はここから始まるらしい。

○依頼の内容
・依頼人は、“鍵屋”クロワール・ストック(人間/女/25歳)。
・報酬は、成功報酬として、一人あたり1000ガメル(失敗時は0)。
・目的は、クロワールが“〈不思議な鍵〉の調査”を行う間の護衛。
・依頼期間は、依頼受理から2日間。これは、ギルドがクロワールに出した調査依頼の制限日数と同様であり延長はない。
・依頼期間中に何らかの外的な事態によりクロワールが調査を行えなくなった場合に依頼失敗と見なされる。
・依頼期間中の必要分の食事と宿はギルドで用意する。
・またグランゼールはその体制上治安が安定せず、置引きや強請(ゆすり)等の犯罪を行う小集団が出没しており、治安維持を担う衛士隊からはならず者たちの逮捕協力の依頼が出されている。
・但し、協力とは言っても衛士隊の活動は国の拡大に追いついていないのが現状であり、要の治安維持すらも冒険者ギルドに頼る有様なので、冒険者側が彼らをアテにするのは難しいだろう。
・ならず者を捕まえて街にいる衛士隊に引き渡せば、ギルドを通してならず者一人につき、パーティー単位で150ガメルの報酬が支払われる。

○“〈不思議な鍵〉の調査”の経緯
・冒険者ギルド《手入れのよいランプ亭》は、元々鍵屋であった建物を買い取り、冒険者ギルドへと改築した場所である。
・買い取りの際、鍵屋の店主は自身が所有する鍵(合致する鍵穴のない鍵、兼業していた冒険者向け不動産業に用いる安物件の鍵等)の多くを残していった。
・残された鍵の中にはマジックアイテムと思われるものや通常鍵とは思われないものも混じっており、今回調査を行う〈不思議な鍵〉もその一つである。
・〈不思議な鍵〉は、人間の子どもの握り拳大の球体からの10cm長の棒が一本伸びた造形をしており、周囲を鏡のように映す表面には凹凸や傷はなく、一見、柄を切り詰めた杖のようにも見える。
・事前の調べによって〈不思議な鍵〉は冒険者に使用・行使することのできるあらゆる魔法とアイテムの効果を無効化することが判明している。
・ギルドは〈不思議な鍵〉の特異性に興味を持ち、そのためにクロワール・ストックを招いた。
・クロワール曰く、その『物見』の力は、魔法やアイテムによらない、本人の才能としか言いようのない異能だという。
・但しギルドとしてはクロワールの力を完全に信用しているわけではない。この調査は彼女の異能の試金石の面がある。
・これらの決定を下したのは、ソフィー・ルールの発案によるところが大きい。
・彼女の考えによると、これほどの鍵で封じられているものならば、ギルドにとって有益なモノが見つかるだろうとのこと。

グランゼールに出没するような犯罪者についてPCたちが知識を持っているかどうか、目標値7の「見識判定」(『Ⅰ』P114)が行えます。PCのうち誰かが成功すれば、それらがよくいる冒険者崩れの手合だろうと思い当たります。また、匪賊の雑兵(『Ⅰ』P471)について、魔物知識判定(『Ⅰ』P116)ができます(全員失敗した場合、ソフィーが教えてくれます)。

2)“〈不思議な鍵〉の調査”について

「早速ですが。わたしはこの国を知るために色々と見て回りたいと思います。ふふ、観光ともいえますね。でも、うまく言えないのですけれど、わたしの調査には“知る”ことが必要不可欠なのです。行き先は――そうですね。《冒険道具街区》などは、面白そうです」
そうして、きみたちはギルドを出、《新市街区》から《冒険道具街区》へと歩き出した。

新市街区から冒険道具街区への道すがら、クロワールは自身の異能である『物見』の力と、“〈不思議な鍵〉の調査”の方針をPCたちに話します。

○クロワールの説明
・自分の異能は、正確に言えば未来を視るものではない。
・この言い方も正確とはいえないが。自分の力『物見』は、「ある事物に関連する情報や経験を集め、それらから未来を発想すること」である。
・これは推論というより、ふとした瞬間に発揮されるもので、無くしたものの場所を突然思い出すことに似ている。
・ただこれが可能になる条件は自分にもわからず、分かるまでは情報や経験を集めるしかない。
・経験則として、グランゼールの地区を3つほど見て回れば何らかの事を『物見』すると思う。
・そのために今回は、グランゼールの比較的ふるい3つの街区である《冒険道具街区》、《中央迷宮街区》、《西港街区》を見て回りたい。
・もちろん冒険者様が素敵な観光プランを提案してくれるのであれば、そちらにするのもやぶさかではない。
・但し、《西港街区》の〈導きの日時計〉だけは必ず最後に訪れるようにしてほしい。
・「たとえ何も分からなくても最後まで諦めたくはないのです。『困った時の神頼み』ともいいますから。そのときは星神ハルーラに導いてもらおうと思います」
・何が『物見』に役立つかは自分でもわからないため、とりあえずは観光のつもりで街を歩いてみるつもりだ。
・冒険者様もあまり気負わずに、自分の観光に付き合ってくれれば嬉しい。

クロワールの説明を終えた後、GMはPCたちに目標値9の「真偽判定」(『Ⅰ』P119)を行わせてください。成功すれば、今までに彼女と接した経験や彼女の口ぶりから、彼女の話に虚偽は感じなかったとわかります。失敗に関しては特に何もありません。

3)グランゼール探索 ①《冒険道具街区》~②《中央迷宮街区》~③《西港街区》

「さて、さっそく、街区を見て回りましょう。あれは――」
クロワールは目を輝かせて辺りの建物や通り等を見ながら軽い足取りで目的地へと向かう。彼女の話の通り、本当に観光のつもりらしい。これが“〈不思議な鍵〉の調査”になるのかどうかの判断は着かないが、きみたちの仕事は彼女の調査の間の護衛だ。それが必要ということであるのなら、彼女の観光に付き合ってあげよう。

クロワールの護衛として彼女のグランゼール観光に付き合い、グランゼール内の3つの街区を下記の順で訪れ、各街区で起きるイベントをこなすことになります。イベントの内容はこちらで用意しますが、GMの思いつきやPLの提案でイベントを起こしても構いません。また訪れる街区そのものも、GMが『グランゼール』を所持しているなら、その記述を参考に変えてしまって構いません。但し、観光の最後③では、必ず《西港街区》を訪れるようにしてください。その際、〈導きの日時計〉以外でイベントを起こしてください(もし行くとなっても、「神頼みをするにはまだ早い」等の理由により、別の場所を見たい旨をクロワールはPCたちに伝えます)。

①《冒険道具街区》
大通りを埋め尽くすバザール、枯れた遺跡で開かれる闇市。
合法非合法を問わず、およそ冒険者が欲しがるもので、この街区で揃わないものはない。
グランゼール最大の経済特区は、冒険者を支援し、そして利用する商人、職人、そして人混みに紛れ犯罪を行う盗賊の区画だ。

○バザールでショッピング
「冒険者様、見てくださいませ! とっても賑やかですよ、今日は何かお祭りの日なのでしょうか?」
と冒険道具街区のバザールに訪れたクロワールは興奮を隠せません。
PCたちがいる場所は、バザールで最も活気のある大通りの中央にある噴水広場です。
通りはたくさんの人が押し合いへし合いといった感じで行き交っています。また通りや広場には、所狭しと色とりどりの露店が連なっており、冒険道具だけではなくいかにも食欲をそそる美味しそうな食べ物やあやしい魔法道具すらも売られています。また少し視線を移せば大道芸人による出し物や吟遊詩人による演奏も行われており、これが冒険道具街区の日常だと知らなければ、祭りの日だと勘違いするかもしれません。
「せっかくですし、何か露店で買いましょうか。市場を知るには実際に買い物するのが一番、とも言いますから。食べ物――冒険道具――どれもこれもとても興味を惹かれますね。冒険者様も何か買われますか?」

ここでは、PLが望むのであれば、各PCたちは判定なしで、PCが購入可能であるものやGMがあってもおかしくはないと判断したものを一つだけ購入することができます。また、その際の価格は定価から500ガメル分引いたものになります(もし、価格が0を下回った場合、最低価格は1ガメルとなります)。

イベントを終えたら、次の街区へと向かいましょう。

②《中央迷宮街区》
中央迷宮街区こそ、”迷宮王国”グランゼールの中心である。
この国を象徴する女神像と、その足下にある大迷宮門と呼ばれる国の地下を巡る巨大な地下迷宮の入り口。女神像に向かって左側を見れば、そこには王が居住する城が聳えている。
ここはグランゼール王国における、冒険の最前線だ。

○女神の下で夢を見る
女神前広場――大迷宮門の前にある迷宮に必要なすべてが揃う広場。
多くの冒険者で賑わう広場は、迷宮に挑む冒険者のための最後の準備をする場所でもあります。高額な値付けがされた冒険道具の露天商、怪我人のための診療所、すぐ近くには始祖神ライフォスや導きの星神ハルーラの神殿なども存在します。
グランゼール自体、冒険者の多い土地ですが、その中でもこの街区は群を抜いており、どこを見ても迷宮に挑まんとする冒険者の姿で溢れています。広場は一攫千金を夢見る者たちの希望という熱気に満ち満ちており、クロワールもそれにあてられたのか、
「この光景は、この国が”迷宮王国”と呼ばれる所以を分からせてくれますね。冒険者様も、いつかは、あの大迷宮門の先に広がる迷宮に挑まれるのでしょうか?」
と、憧憬と羨望、そして少しの心配を含んだ表情でPCたちに問いかけてきます。
「わたしの『物見』では、未だ冒険者様の未来は知れません。でも、きっと冒険者様なら、いつかあの王城に招かれ、王様の前で素敵な冒険譚を披露するようなこともある気がするのです。ふふ、ほんとうですよ」
と彼女は柔和な微笑みを浮かべます。
もちろん、迷宮に挑むことが冒険の総てではありません。冒険者にそれぞれの事情や野望があるように冒険も千差万別です。しかし、この国で何かを為すための手段として迷宮に挑むことは、最もポピュラーな手段であるのは事実です。

ここでは、特にこれ以上のイベントはありません。
イベントを終えたら、次の街区へと向かいましょう。

③《西港街区》
北西にある峻険なディガット山脈、そこから流れるボドロフ湖を挟みこむように作られたのが港街区だ。港街区はボドロフ湖から流れるシュウェーヌ川によって、西港街区と東港街区に分かれている。主に西港街区は中流階級が、東港街区は富裕層が多く暮らす街区となっている。きみたちは現在、西港街区の〈夢の街〉と呼ばれる場所にいる。

○〈夢の街〉で夢の話
西港街区の倉庫街裏には〈夢の街〉と呼ばれる小規模なテントがいくつも貼られた場所があります。今は赤と白の派手なストライプ柄の大小様々のテントが並び、あるテントでは吟遊詩人や大道芸人が異国の演物でその持ち前の腕を披露し、あるテントでは異国の珍しい品や絵巻、書物なども商っています。《冒険道具街区》とはまた雰囲気の違った、子供から大人まで、異国の娯楽に心惹かれる者達の夢が集まるところです。
また、この場所は夕方から真夜中にかけて、テントのストライプが黒と青になります。テントの色合いが変わると、商われるサービスや商品も変わり、それらは「特別なサービス」を求める大人たちの夢を満たすものになるのです。
クロワールは、つい先程買った異国の冒険譚が記された本を抱きしめるように胸に抱えて、嬉しそうにしています。そしてPCたちを見、言います。
「実はわたし、夢があるのです。その夢は冒険です。いつか、わたしもこの本の主人公のように、壮大で素敵な冒険をしてみたいと願っているのです。――知っての通り、わたしには『物見』くらいしかできませんから、夢が叶うのがいつになるかは分かりませんけれど――いつか必ず叶えたいのです」
そう語る彼女は、本を抱きかかえる腕にきゅっと力をこめます。
冒険をいつか叶える夢とするクロワール。
その瞳に映るPCたちこそ、彼女の夢の延長線上にいる冒険者なのです。
「さあ、次は――次は〈導きの日時計〉へと向かいましょう。結局、何も視えませんでした――これでも視えないのなら――でも、それでも、ここで諦めるのはいやです。だから最後に、“導きの星神”さまに祈ってみます」
と『物見』ならず残念そうな顔をしたクロワールは、それでも瞳の輝きを失わず言います。
グランゼールの空は赤色に染まっており、じきに夜が来ようとしています。
「さあ、冒険者様。急ぎましょう! 夜になる前に〈導きの日時計〉に行きませんとっ!」
クロワールは声を励まして、PCたちを促しつつ〈夢の街〉を抜けるため、昼と夜の境の、帰りと行きの客で出来た人混みの中へと入っていきます。

ここでは、これ以上のイベントはありません。
また、クロワールとPCたちが〈導きの日時計〉に向かったら、即座に次のイベントを発生させてください。

4)クロワールの誘拐~ならず者との戦闘

グランゼールに夕暮れが訪れる。
〈夢の街〉のテントも昼の赤白から夜の黒青のストライプ模様に変わり始める頃だ。
昼に異国情緒を楽しんでいた人々は帰路へと着き、夜の夢を愉しもうとする人々がやって来る。
クロワールときみたちは、〈夢の街〉を抜け〈導きの日時計〉へと向かうために人混みの中へと入っていく。
――夕暮れは魔と出逢う時間だという。それは、町中であっても変わらない。
きみたちのもとにも、夕暮れと共に魔が訪れる。
人混みに揉まれながらも移動するきみたちだが、その勢いのためにほんの一瞬、クロワールから視線が外れた。その一瞬に、魔が入り込んだ。
「きゃあっ!」
きみたちを遮る人垣の先から、クロワールのものと思われる悲鳴が聞こえた。
夕暮れの中、悲鳴に驚いた人々が立ち止まる。人垣の間から見えるのは、何者かに抱えられ攫われようとしているクロワールの姿。
そう遠くはない。きみたちは人垣を押しどけてクロワールの方へと向かおうとするが、その前に得物を手にしたならず者たちが立ち塞がった。
次々と事態に気づいた人々は、きみたちとならず者たちを取り囲んで空間を形作り、遠巻きに様子を見ている。周囲から伝わる恐怖と好奇の感情。だがそれ以上の敵意をきみたちは目の前のならず者たちから感じていた。
ならず者たちの後ろ、連れ去られていくクロワールの姿が見えなくなる直前、彼女の叫びが届いた。
「わたし冒険者様を信じます! だから鍵を――最後まで、諦めないで!」
クロワールを救出するためにも、まずはこのならず者たちを倒さなければならない。

ここでは、クロワール誘拐犯一味との戦闘が即座に始まります。PCたちは周囲を人垣で取り囲まれており、逃走することはできません。また彼らはPCたちを完全に敵だと認識しており、交渉の余地も一切ありません。尚、PCたちが目の前に立ち塞がったならず者たちを飛行等の手段を用いて無視しようとしても、周囲の人垣のために上手く行かず結局は戦うことになります。
クロワールがPCたちに「わたし冒険者様を信じます! だから鍵を――最後まで、諦めないで!」と叫ぶ際、それまでに〈不思議な鍵〉をPCたちが預かるなどせずにクロワールが所持したままであったのならば、PCたちに投げ渡します。これは判定の必要無しでPCたちの誰かが受け取れます。

●戦闘
前線:ならず者(匪賊の雑兵)(『Ⅰ』P471)×(PC人数)体

PCたちと同様に、ならず者たちも逃走できないため、最後まで戦い続けます。また時間帯は「夕暮れ時」ですが、まだ「夜」ではないため、ペナルティは発生しません。

戦闘に勝利すれば、騒ぎを聞いて駆けつけた衛士隊に時間経過無しでならず者たちを引き渡すことができますが、戦利品の獲得は発生しません。これには『○依頼の内容』に含まれていた「ならず者一人につき、パーティー単位で150ガメルの報酬が支払われる」が適用されるため、この報酬を戦利品の獲得の代わりとしてください(報酬自体はシナリオの最後に纏めて支払われます)。

5)光に導かれて

きみたちは立ち塞がるならず者たちを打倒するも、既にクロワールと彼女を連れ去った悪漢の姿はなかった。
相手は夕暮れ時とはいえ人混みのなか白昼堂々と人攫いを行う悪党だ。攫われた人間がどんな目にあうか想像もつかない。
グランゼールは急速な発展に伴い、街の地図も日々書き換わっている。ならず者たちは、そうしてできた迷宮の如き裏道も知り尽くしているだろう。
都市での行方不明者の捜索は、遅れれば遅れるほどその困難さを増す。
おそらく今夜中に救出できなければ、此度のきみたちの冒険も、彼女の夢も、もう二度と叶うことはない。
事態は一刻を争う。クロワールを救出しなければ――。

PCたちはクロワールの捜索を、目標値11の「聞き込み判定」(『Ⅱ』P40)で行えます。捜索の範囲はまだ時間がそこまで経っていない事もあり、誘拐現場の〈夢の街〉のある《西港街区》に限られます(PLから聞き込みについて提案があれば、これを厳密に守る必要はありません)。また判定を行う際、賄賂を支払うことで判定にボーナスを得られます。20ガメルを支払うごとに、+1の「交渉ボーナス」を得られ、この効果は最大+10(200ガメル)まで累積します。
成功すれば、クロワールを攫っていったのは「ならず者たちの首領」である事とその正体を知る事ができます。しかしその居場所までは掴めません。

PCたちが掴んだならず者たちの首領の正体をまとめると、次のようになります。

・ならず者たちの首領は、デュート・レーヴ(人間/男/34歳)。
・デュートは、元冒険者であり一流になれる腕前はあったが、人物が三流だった。
・パーティーではやっていけなかったデュートは、それでも諦めず、ひとりで冒険をしていた。
・だが、個人での冒険は難しい。ことグランゼールの迷宮においてそれは顕著である。
・いつしか冒険に絶望したデュートは、冒険者から街のならず者へと身をやつしていた。
・腕前は一流、人物は三流というデュートの性質は、ならず者たちの首領には向いていた。今では街のならず者たちの集団のひとつの首領となっている。
・デュートの実力と性格からして、仲間を連れず、彼ひとりで攫ったクロワールと何処かに潜んでいるだろう。
・この街のならず者たちは住民すら知らないような裏道も知り尽くしている。デュートが隠れているならば、残念だが居場所を見つけることは諦めるべきだ。

デュート・レーヴ(腕利きの傭兵)(『Ⅰ』P471)について、魔物知識判定(『Ⅰ』P116)ができます(「聞き込み判定」で賄賂を支払っていた場合、判定無しで分かります)。
なお、捜索中の描写は情報を伝えるだけで済ましても構いません。描写を行う場合は、PLの提案を聞き、都度適当に描写してください。例を挙げれば「奴隷商人に聞き込む(夜の〈夢の街〉であればいるでしょう)」「近隣の冒険者ギルドに情報を求める(グランゼールには、それぞれの街区に様々な冒険者ギルドがあります)」等があります。

PCたちが捜索を一通り終えたら、以下のイベントを発生させてください。

○「冒険」を導くもの
一通りの捜索を終えた頃、きみたちは誰ともなく〈導きの日時計〉のある広場に集っていた。
既に夕は夜になり、広場の空の闇の中には星々が瞬いている。日中は賑わうこの場所も、今は疎らに通行人がいるだけだ。
きみたちがこれまでの捜索によって視た未来は、今夜中にきみたちの力でクロワールを見つけるのは困難だということ。
暗中模索の状況。此度の冒険の最後が、最も悪いかたちで訪れようとしている。
――そう思われた時、きみたちのもとに一筋の光明があらわれた。
『冒険者を信じている。最後まで、諦めるな』そう、クロワールは最後に言った。
どうやら、『〈不思議な鍵〉の冒険』の最後はここではないらしい。

PCたちの必死の捜索にも関わらず、ならず者たちの首領デュートと、攫われたクロワールを見つけることはできそうにありません。
そうして冒険の終りが最悪のかたちで訪れようとしてる中、PCたちの持つ〈不思議な鍵〉が、仄かに青白く輝き出します。その淡い輝きは、まるで夜空に瞬き、旅人の道標となる星の輝きのようです。
『鍵』と『星』と『導き』――それが冒険者たるPCたちに示すものは、事此処に至ってはひとつ、〈導きの日時計〉しかありません。
〈導きの日時計〉は、現在PCたちのいる広場にあります。

描写を終えたら、即座に次のイベントを発生させてください。

○〈導きの日時計〉
〈導きの日時計〉――グランゼールで最も信仰される神“導きの星神”ハルーラの権能の一端こそが、この日時計である。
過去に発掘された魔導機を再建したというこの日時計は、通常の日時計としてよりも、人々を導く「占い」のために使われる方が多い。
「占い」は、日時計の円形の外郭に刻まれた紋様に触れ、「質問」を口にする。すると日時計の影の針が動いて盤上に刻まれた交易共通語を指すことによって、「答え」が示される。ただ、そうして示される「答え」は過分に抽象的であり、その漠然とした言葉は発想力を働かせないと意図を汲み取れないともいう。
既に日の光はなく、「答え」はきみたちを何へ導くのかも分からない。
――それでも、冒険を諦めるという選択肢はなかった。
〈不思議な鍵〉が、夜空の星明かりを収束したかのようにその輝きを増す――照らし出された〈導きの日時計〉の盤上には、影の針が落ちていた。

PCたちは〈導きの日時計〉を使用できます。強く輝く〈不思議な鍵〉の光により影の針は既に出ているので、後は円形の外郭に刻まれた紋様に触れて「質問」を口にするだけです。
PCたちが紋様に触れると、盤上に刻まれた交易共通語が仄かに青白く輝き出します。そして「質問」を口にすると、影の針が動きだし盤上に刻まれた交易共通語を示します。なお、PCたちが口にする「質問」の内容はどのようなものでも構いません。星神の権能たる日時計はその本質を読み取り、PCたちを今回の冒険の結末へと導く「答え」を示します。
PCたちの「質問」により、〈導きの日時計〉により示された「答え」は、
『星を追って(Chasing Starlight)』
そして、日時計が「答え」を示した直後、〈不思議な鍵〉と〈導きの日時計〉の輝きが日時計の中央に収束し、宙に浮かぶ青白く輝く光球となります。光球の輝きは周囲を照らす光源として扱い、光源の恩恵を受ける対象は【2エリア(半径30メートル)/すべて(PCのみ)】です(「PCだけに【暗視】効果を与える」としても構いません)。
その後、光球はPCたちを先導する様子で一定の距離を保って移動し始めます。PCたちも『星を追って』行きます。

6)クロワールの救出

どれほど走っただろう。光球は通りを行き、路地を抜け、幾つもの曲がり角を折れ、いつしか古い地区の中へと入っていた。周囲には人気のない、古びた建物が並んでいる。そこは《西港街区》に近いことは確かだが、自分たちがどこにいるのか判然としない。グランゼールは急速な発展のために無茶な都市開発を繰り返しているという。おそらく、ここはそんな都市のなかで新しいものに淘汰され、いまは棄てられてしまった地区の一角なのだろう。
光球が移動をやめたのは、そんな発展のために棄てられた小さな広場の中央だった。
かつては住民たちの憩いの場であったかもしれないその広場は、いまでは廃墟に囲まれ暗闇の中にある。
――光球の星明かりが、広場の暗闇を照らし出す。
広場は開けており障害物となる物はない。また、広場に出入りする道はきみたちが来た道だけだ。広場には、きみたちを除いて二人の人影があった。ひとりはデュート・レーヴと思われる男、もうひとりは男の足元に横たえられたクロワール・ストックである。
デュートはこの広場で夜を明かすつもりなのか、周囲を警戒しているようだが、きみたちにはまだ気づいていない。傍らのクロワールには目立った外傷はなく、気を失っている様子を遠目に確認できた。
きみたちが何をすべきかは明白だった――デュートを打倒し、クロワールを救出する。
星神の恩恵のため、いまなら先制して行動することもできるだろう。
星明かりに導かれ、『〈不思議な鍵〉の冒険』の最後の戦いが、今始まる。

ここでは、ならず者たちの首領であるデュート・レーヴとの戦闘が即座に始まります。デュートはその性質上、交渉の余地は一切ありません。

●戦闘
前線:デュート・レーヴ(腕利きの傭兵)(『Ⅰ』P471)×1体
※夜の屋外である事と広場は自然光から影になる構造であるため、星神の恩恵のないデュートは「視界が悪いことによるペナルティ修正」として、マイナス4のペナルティ修正を受けます。また、この戦闘におけるPCたちの「先制判定」(『Ⅰ』P112)は「実力を覆せる明白に有利な状況」として、プラス5のボーナス修正を受けます。

戦闘に勝利すれば、気絶したデュートを(PCが殺害していなければ)逮捕することができます。その代わり戦利品の獲得は発生しません。以後、シナリオ内でデュートが自力で気絶から目覚めることはありませんので、何処かのタイミングで衛士隊に引き渡したものとして扱ってください。これには『○依頼の内容』に含まれていた「ならず者一人につき、パーティー単位で150ガメルの報酬が支払われる」が適用されるため、この報酬を戦利品の獲得の代わりとしてください(報酬自体はシナリオの最後に纏めて支払われます)。

7)〈不思議な鍵〉の冒険

戦いは終り、広場には再び夜の静寂が訪れていた。
クロワールはやはり気を失っていただけのようで、きみたちの介抱によってすぐに目を覚ました。これまでの経緯を一通り聞き、クロワールは攫われた自身の不注意を詫び、救出してくれた礼をきみたちにいう。動けるようになった彼女は、広場に浮かぶ星――光球を指差した。
「それでは、わたしたちの『〈不思議な鍵〉の冒険』の結末を、見届けに行きましょう」
星を追って――冒険は、結末へと至る。

クロワールによると、自分が救出されたにも関わらず光球がいまだ消えていないことには意味があるのだと言います。此度の冒険とは『〈不思議な鍵〉の冒険』です。この物語の終りはクロワールの救出ではなく、鍵穴の発見にあります。
〈導きの日時計〉が導く今回の冒険の結末を見届けるべく、PCたちとクロワールは星明かりのもと、星を追って夜の街を行きます。

描写を終えたら、即座に次のイベントを発生させてください。

○《いつかの冒険の残映》
辿り着いた場所は、ある廃墟だった。
きみたちを導いた光球はその役目を終えたというように、建物の扉に吸い込まれて消えた。
その小さな建物にはその木の扉がひとつだけあり、他に扉や窓は見られない。扉には鍵穴らしきものはなく、不思議な力に守られているために無理やり開けることも叶わないだろう。
けれども、きみたちはどうすればいいのか分かっていた。何かに導かれるように〈不思議な鍵〉を扉に掲げる。すると扉から「カチャリ」と鍵が開くような音が響き、開くはずのなかった扉が――冒険の結末への扉が開かれた。

扉の先にあったのは《いつかの冒険の残映》ともいえる光景でした。そこは古い部屋で、目に映るのは古い様式の調度品や骨董品のような冒険道具、魔法の品と思われる物の数々です。金銀財宝の類ではありませんが、ここが冒険者にとって宝の山であることが分かります。どれもこれも一級の品であるそれらの中には、使い込まれた武具や高位のハルーラの神官のものと思われる道具もありました。どれも埃をかぶってはいますが、こと冒険の国グランゼールにおいて、その価値の程は計り知れません。
「……この部屋の主たちは、どうなってしまったのでしょうか。ここに遺されたいつかの冒険の残映は、希望と絶望、どちらなのでしょう……」
と、クロワールが独り言ちます。しかしその「答え」は、もう部屋の何処にも遺されていませんでした。
過去を視ることのできない彼女は、それでも何かを視ようとして残映を見つめていました。

《いつかの冒険の残映》を発見したことで、PCたちの『〈不思議な鍵〉の冒険』は結末となります。見つけた物はクロワールの調査の成果物としてギルドに提出されるため、PCたちが戦利品とすることはできません。
なぜ価値ある品々が遺されていたのか、どうして〈不思議な鍵〉の持ち主は消えたのか。様々な疑問は浮かびますが、それらに対する明確な「答え」は既に失われており、真実を知ることはないでしょう。
唯一つ確かなのは、PCたちは依頼を達成し、冒険の結末に宝物を発見したということです。

8)結末

《いつかの冒険の残映》を発見し、冒険者ギルド《手入れのよいランプ亭》でクロワールが“〈不思議な鍵〉の調査”の報告を終えると、今回の依頼は達成となります。
クロワールはPCたちに感謝を伝えて、「貴方達こそ、わたしの憧れてやまない冒険者です!」と微笑みます。

○『“鍵屋”の冒険』の始まり
『〈不思議な鍵〉の冒険』から後日、クロワールからPCたちに対して、冒険者ギルド《手入れのよいランプ亭》で正式に“鍵屋”になったとの知らせが届きます。
『――冒険者様との冒険では上手く働かなかった力も、いまは順調に発揮できています。またギルドにはまだまだ沢山の奇妙な鍵が眠っており、鍵のひとつひとつが冒険に満ちていて、とても楽しく充実しています。
[追加:デュート・レーヴを殺害していない]そういえば。わたしからお願いして、あのデュートという方にも調査を手伝っていただいています。ソフィーさんが衛士隊に働きかけてくれて、彼の冒険者への更生のためという理由で、一時的に《手入れのよいランプ亭》の預かるところになった――と聞いています。
彼の冒険だって、諦めなければ終ることはないのです。[追加の内容ここまで]
長くなってしまいましたが。いつか冒険者様とも、また鍵のことで共に冒険する機会もあるでしょうから、その時はぜひお願いしますね。――』
知らせは『PCたちが困っている時は自分もできるかぎり助けになる』と締められています。
それは〈導きの日時計〉が、『〈不思議な鍵〉の冒険』において困難を打開したように――
きっと、クロワールの『物見』の力は、今後PCたちの冒険において、困難を解決するための心強い力となるでしょう。

経験点と報酬

無事冒険を終えると、PCたちは「1000点+倒した魔物ぶん+1ゾロぶん」の経験点を得ます。
また、クロワール護衛の報酬として冒険者ギルドから一人あたり1000ガメルが支払われます。ならず者たちを衛士隊に引き渡していた場合、追加で「ならず者一人につき、パーティー単位で150ガメル」の報酬が支払われます。さらに、ならず者たちの首領デュート・レーヴを逮捕したことによる特別報酬として、一人あたり500ガメルが支払われます。
「クロワール・ストック」について。本シナリオ以後、彼女は冒険者ギルド《手入れのよいランプ亭》で会えるNPCとなります。彼女の役割は【情報面でのお助けNPC】です。シナリオ中進行に詰まった際、クロワールを尋ねて、それまでに収集した情報等を伝えれば『次に何をすればよいか。答えとなるものは何処にあるか。』を教えてくれます(持ち寄る情報の量や、それで『物見』する情報の質に関しては、GMに一任されます)。

■シナリオノート

このシナリオは、私が『ソード・ワールド2.5』(以下、『SW2.5』)で公開するシナリオとしては三作目になります。内容としては「“迷宮王国”グランゼールを観光しよう」という趣旨のシナリオです。作中のグランゼールの描写の面では『グランゼール』を参考にさせていただきました。
『グランゼール』はデータというより世界観を広げるという立ち位置のサプリメントですが、とても魅力的な一冊なので気になった方はぜひ手にとって見てください。

このシナリオはスタンダードな「依頼護衛型」にシティアドベンチャーの要素が付いたシナリオとなります。シティアドベンチャーという性質上、できるだけ分かりにくい要素を廃して進行しやすいよう意識して作りました。次の目的地や、やるべきことが示され、詰まることがないようになっていると思いますので、シティアドベンチャーに苦手意識のある方もやりやすいと思います。

お話の内容については繰り返しになるので割愛させていただきますが、今回のシナリオはサプリメントの舞台を使いつつも、サプリメントを所持していない方にもグランゼールという国の雰囲気を味わっていただける内容になったと思いますので、ぜひ遊んでいただけると幸いです。また当然、シナリオはサプリメント『グランゼール』を所持している方も楽しめます。作中グランゼールの様々な街区を観光する場面がありますので、サプリメントを所持している方は、ぜひ内容をアレンジしてみて、自分だけの「冒険」を創ってみてください。

余談ではありますが、このシナリオはディズニー映画『ピノキオ』の主題歌でもある、『星に願いを』(原題:When You Wish upon a Star)の歌詞をイメージして作りました。そのためセッションで遊ぶ際はこの曲を聞いておくとなんとなく楽しいかもしれません。

●シナリオ作成者:トカゲッコー
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クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

本作は、「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の、二次創作です。
(C)GroupSNE
(C)KADOKAWA

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