【シナリオスペック】

キーワードお題付シナリオ
使用：『着任ノ書』（選択：『建造ノ書弐』）
艦娘人数：2～５人
重要NPC：鈴谷航改二（データについては後述）
プレイ時間：３時間程度
リミット：2サイクル（PC数2-3の場合）
　　　　　１サイクル（PC数4-5の場合）
※イベントカードに条件有り、下記補足

補足：このシナリオでは鎮守府フェイズ開始時において、通常の処理と異なる操作がある。
　　　鎮守府フェイズでのイベントカード作成時、
　　　PL達は「キーワード」に【鈴谷が悩んでいること】を書かなければならない。
　　　事前にPL達に悩みを考えてもらってもいいだろう。
　　　また、シナリオの仕様上、PL同士でのキーワードの相談は許可される。
　　　しかし、イベント内容に関しては通常通り相談は禁止である。（日常、遊び等）
　　　なお、GMに対しての相談はどちらもしてよい。
任務：１、イベントを[PC人数-1]回以上達成する
　　：２、前哨戦にて勝利する
　　：３、決戦フェイズにて勝利する
　　：４、鈴谷の悩みを全て解決する→マスターシーンの発生（選択）
　　：５、PC達に[鈴谷に取得している感情値の合計×10]点の経験点を与える（選択）
補足：任務の（選択）は任務として設定しなくてもいいし、してもいい。
　　　設定する場合は、導入フェイズで開示すると、
　　　ゲームの方向に強い強制力を持たせてしまうので任務開示時に言わずに経験値算出時に
　　　シークレットでこんなの設定されてたよ、と開示すること。

【あらすじ】

近々行われる作戦の為にある鎮守府から最上型３番艦 鈴谷（航）改二が派遣されてきた。
彼女は今回の作戦の要となる存在だとPC達の提督は言う。
PC達は鈴谷と艦隊を共にして作戦を成功させなければならない。
だが、重要な役目を担う彼女には、解決しなければならない事柄がいくつかあるようだ。
作戦決行まで残された期間はあと数日……。
PC達は無事に作戦を成功させることができるのだろうか。

【NPCデータ】

鈴谷航改二/軽空母
　●戦力
　　命:0,火:2,回:1,装:8,装備力:3,行動力:15
　●得意カテゴリ
　　制空/攻勢
　●初期個性
　　自由奔放/元気/フリー/x古風
　●初期アビリティ
　　戦術爆撃/鈴谷航空隊、ト連送じゃん！
　●固有アビリティ
　　【鈴谷航空隊、ト連送じゃん！】
　　固有/なし/オート/鈴谷航改二
　　自分の【損傷状態】が中破でも、種類が艦載機の装備アビリティを使用できる。
　●獲得装備
　　彗星一二型甲/彗星

なお、何らかの事情で鈴谷航改二が出せない鎮守府の場合を考え鈴谷改二のデータも載せる。

鈴谷改二/航空巡洋艦
　●戦力
　　命:0,火:2,回:1,装:8,装備力:4,行動力:18
　●得意カテゴリ
　　展開/制空/守勢
　●初期個性
　　自由奔放/元気/フリー/x古風
　●初期アビリティ
　　緊急回避/いいじゃん、いいじゃん♪
　●固有アビリティ
　　【いいじゃん、いいじゃん♪】
　　固有/なし/サブ/鈴谷改二
　　自分が艦載機の装備アビリティを使って偵察に成功したときに使用できる。
　　その艦隊戦の間、自身を含む味方艦が偵察の目標から攻撃を受けた場合、
　　回避判定にプラス1の修正がつく。
　●獲得装備
　　20.3cm（2号）連装砲/瑞雲

【導入フェイズ】

このシナリオではセッション開始時点でPC達は作戦の為に既に艦隊を結成している。
なので、導入の描写を行う前に鎮守府名と艦隊名、旗艦の決定を行うこと。
時間に余裕があるのであれば結成シーンを1つ作ってもいい。

シーンは早朝から始まる。
PC達の艦隊は提督から呼び出しを受けており、提督執務室に行かなければならない。
PC達は朝の支度を終えて、提督執務室へ向かう。
提督執務室の扉の前に着くと、部屋の中から騒がしい声が聞こえてきた。
「ほぉう！　鈴谷がカナメかあ！　いいじゃん、いいじゃん♪」
PC達が部屋の中へ入ると、３人の姿がある。
１人はキミ達の提督、もう１人は秘書艦、
そして最後の１人は――
「おぉう！　鈴谷が入る艦隊のヒトだねーっ！　よっろしくぅ！」
最上型3番艦 鈴谷だ。彼女は第二次改装を受けた艦娘であり、
近く鎮守府で行われる深海棲艦泊地への攻勢作戦の要であると提督は言う。
PC達は鈴谷と艦隊を共にして作戦を成功させなければならない。
PC達の艦隊に鈴谷が加わった。
提督は作戦までの間にお互いを知り実戦において協力できるようにすることと下知する。
用は終わった。PC達は提督の執務室を後にする。

提督の執務室を去り、食堂で朝食を取っていると鈴谷がPC達にこのような提案をする。
「あ、そうだ！　一緒の艦隊になったんだし、もうトモダチだよねっ、メアド交換しよ！」
「これからよろしくねっ！　で、聞いて欲しいことがあるのっ！」
「実は鈴谷悩んでることがあって、解決に協力してくれない？」
「提督もお互い知り合えって言ってたしさ。作戦の為だと思って、ね？」
そのように鈴谷はPC達に頼んでくる。
作戦まであと数日、PC達は鈴谷の悩みを無事解決することができるのか。
最後に、感情点の処理。PCは好きなキャラクターを選び、感情点を1点上昇
なお、鈴谷はPC達に1点の感情を取得しているものとして扱う

【鎮守府フェイズ】

シーンエディット：日常、交流、遊び、作戦（選択：ほのぼの、任務）
※GMはPLに対して、
　イベントカードのキーワードに「鈴谷が悩んでいること」を記入することを伝える。

■前哨戦

タイミング：リミット2、1サイクルと2サイクル目の間
　　　　　：リミット1、シーンの半分終了時
敵編成：旗艦重巡リ級×1、軽巡ヘ級×2、駆逐イ級×2
戦闘勝利条件：大破、轟沈の合計数がPC側の方が少ない時、敵の全滅
戦闘敗北条件：大破・轟沈の合計数がPC側の方が多い時、PC全員の轟沈
戦場表：使用
解説：PC達が鈴谷の悩みの解決の為に奔走しているとき、
　　　鎮守府の放送でPC達は呼び出される。
　　　「偵察隊ヨリ深海棲艦艦隊ノ接近ヲ受ク。（艦隊名）ハ直チニ出撃シ此ヲ殲滅セヨ。」
　　　作戦前の前哨戦だ。軽く倒そう。
◯シナリオギミック：【鈴谷の支援】
　タイミング：先制雷撃フェイズ直後
　効果：鈴谷の支援攻撃。
　　　　全ての敵に[それまでに成功したシーン数]d6点のダメージを与える。

【決戦フェイズ】

作戦決行日、来る。
鎮守府群からは泊地攻略の為に、様々な役割を与えられた艦隊が次々に出撃している。
PC達の艦隊はこの作戦の要である。
敵の防衛艦隊を撃破し、中枢を爆撃によって破壊する役割が与えられている。
偵察隊の情報によると防衛艦隊のなかでも旗艦が一際強力であるとのこと。
準備は万全だ。後は出撃し、敵を打ち砕くだけだ。さあ、抜錨せよ！

■マスターシーン「鈴谷の真実の悩み」発生

タイミング：全てのシーンを達成しており、決戦フェイズ描写後
内容：決戦日、作戦海域へ向かう航海のなかで、鈴谷はぽつりぽつりと語り出す。
　　　いままで、PC達には色々な悩みを解決してもらった。
　　　しかし、それはどれも真実の悩みではない。
　　　自分の真実の悩みは、第二次改装を受けてから感じている、得体の知れない不安だ。
　　　それは、自分の周囲が変わったというわけではない。
　　　周囲はいままでと同様に暖かく、何も変わらない。
　　　そのことに、何か寒々しいものを感じてしまう自分がいる。
　　　変わる前と変わった後で、自分は生まれ変わるような気持ちでいた。
　　　それでも、現実は何も変わらず、自分は自分のままで。
　　　だからだろうか。自分に自信が持てなくなってしまった。
　　　これは、時間が解決してくれるもので、どうしようもない悩みだと思っていた。
　　　だが、PC達が自分の悩みを解決してくれるなかで、いつしかこの不安も消えた。
　　　いつ、どのような場所でも、何であろうが、
　　　――ワタシはワタシなのだ。
　　　そう、思えた。すべてはPC達のおかげだ。
　　　だから、自分は今回の作戦を成功させることで、これに精一杯応えたい。
　　　「今の鈴谷は、無敵じゃん？」
　　　彼女はそう言い、不敵に笑った。
　　　作戦の海域は目前だ。

シーン効果：鈴谷の偵察により、戦場が「T字有利」となる。
　　　　　　また、後述の【鈴谷の支援】の火力が＋1点増加する。

■艦隊戦

敵編成：旗艦戦艦ル級×1、重巡リ級×２、軽母ヌ級×１、[前哨戦で倒せなかった敵（Elite化）]
戦闘勝利条件：敵旗艦の轟沈
戦闘敗北条件：PC全員の轟沈
戦場表：使用orマスターシーン効果[丁字有利]
◯ギミック：【鈴谷の支援】
　タイミング：先制雷撃フェイズ後、発生
　効果：鈴谷の支援攻撃。
　　　　全ての敵に[それまでに成功したシーン数＋1]d6点のダメージを与える。

【終了フェイズ】

[エンディング]
「鈴谷航空隊発艦！」
防衛艦隊の撃破をしたことで丸裸になった泊地中枢に向かって鈴谷が艦載機を出す。
数秒後、泊地から凄まじい轟音と爆炎があがる。
「トラ・トラ・トラ！！」
――作戦成功、勝利だ。
「へへっ、奇襲じゃないけどさ。ちょーっと言ってみたかったんだよね、コレ。」
辺りを見ると他に出撃していた艦隊も続々と帰投の為に鎮守府に向かっている。
PC達の活躍によって、泊地の攻略は完了した。
後に残ったものは残骸だけだ。もうここに用はない。PC達も帰投しよう。

翌日の早朝、PC達、それから提督と秘書艦は鎮守府正門に立っていた。
昨夜は攻略作戦成功を祝う祝勝会が開かれた。
PC達も賑やかに騒いでいるところ、鈴谷が自身の鎮守府に帰ることが知らされたのである。
「皆！　色々と本当にありがとっ！　鈴谷、とーっても楽しかったよっ。」
鈴谷はそう言い、笑顔でPC達に別れを告げる。
「悩んでたこともあったけれど、皆のお陰で吹っ切れた！」
「これからはもーっと素敵な鈴谷になるからさ。皆も頑張んなよー！」
迎えのバスがやってきた。（迎えは何でもいい、各自鎮守府の設定に合わせてほしい）
鈴谷は一足飛びにステップを上がり、振り向く。
「じゃあ、また会おうねっ。」
「あ！　メアド交換したんだしメールもしてねっ！」
扉の締まる直前、ウインク一つとそんな言葉を残して、鈴谷は去った。

　いま、舟は出た。
　白く輝く航跡を残して舟は進んでゆく。
　私たちも錨を上げて進まなければならない。
　時は待ってはくれず、未来は曖昧で分からない。
　それでも、行く先が美しいものだと信じて進んでゆこう。

【エピローグ】

エンディング後にどのような演出をするかはご自由に。
演出終了後、成長処理を行ってください。

シナリオは終わりです。お疲れ様でした。

【シナリオノート】

改二コンバート艦自体は以前からありましたが鈴谷のように航空巡洋艦、軽空母と艦種がガラリと変わるのは新鮮に感じました。なので、今回のシナリオは「鈴谷（航）改二をNPCとしてシナリオに登場させたい」為に作ったものとなります。
シナリオを作成する前に鈴谷の改二と航改二のデータを作成する必要があり、原作ゲームの数値、既存ルルブ・サプリ等の数値等で調整してデータを作成しました。これはなかなかに楽しい作業でした。嬉しかったのがTwitterで公開したら「それっぽい」と言ってもらえたことです。

鈴谷（航）改二といえば生存力でしょうが、これはあまり要素としてはデータ化にしませんでした。強いていうなら【行動力】を高めに設定した点が生存力の高さにあてはまるくらいでしょうか。
コンバート艦についての処理――『コンバート改造』とでもいいましょう。
これについてのルール（というほどのものでもありませんが）を制定しましたので、ハウスルールとなりますが、使われる方がいる場合を考え追記します。

【『コンバート改造』についての処理】
この改造は「改二改造」を行った艦種で、「コンバート改造」が可能な艦娘のみ行うことができる。
自分の【名誉点】を3点支払うことで、「コンバート改造」を行い、「改二改造」の処理をやり直す。この改造では、【獲得装備】は持ってこない。

鈴谷（航）改二は「改二の選択肢が2つある艦娘」として作成しました。
データとしては艦種だけでなく、改二と航改二の性能の差別化を図りました。
鈴谷改二は防御型、鈴谷航改二は攻撃型としたのです。
改二は防御型としては甘い気がしなくもないですが、航改二は攻撃型軽空母らしくなったと思います。

なお、Twitterで紹介していただけるときは「#艦これRPG」つけていただけると公式展開再開にも微力ながら繋がるかもしれません。私もこっそり確認して嬉しくなります。
よろしくお願い致します。

シナリオ製作者：トカゲッコー

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

ここまで読んでいただき感謝致します。それでは、良い艦隊生活を！

某年某月某日、JaccaPoP「21th century girl」を聴きながら