日記:2024年2月15日

〇夕から雨。しとど降る雨は街灯や車のヘッドライトの光を反射して、幾条の細く白い光線が空から落ちているようだった。今日は二月にしては気温もそれほど低くなかったから、寒さに震えることもなく、雨粒が傘をたたく音を聞きながら私は帰路を歩いた。
 こういう雨の日は鬱陶しさより好ましさが勝つ。

〇内藤里永子編・訳『エミリー・ディキンスン詩集』を読む。
 エミリー・ディキンスン。一八三〇年十二月十日、アメリカはマサチューセッツ州アマーストの名家に生まれる。彼女はその生涯のほとんどを邸の中で過ごし、南北戦争や恋愛の嵐が吹き荒れる中多くの詩を生んだ。彼女の詩作のそのほとんどは死後に発表されたものである。

「希望」は背中に翼をつけている
人の心の中に止まっている
言葉のないメロディーを歌っている
歌いやむことはない

疾風の中で聞いたとき ああ ほんとうに
優しかった。荒れ狂う嵐が凄まじくても
たくさんの心を温めた「希望」という
小鳥を打ち砕けるだろうか

極寒の地で わたしは「希望」の歌声を聞いた
まよい出た海の上でも聞こえた
「希望」は しかも困窮したときにも わたしに
パンくずひとつ ねだりはしなかった

内藤里永子編・訳『エミリー・ディキンスン詩集』
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