〇晴れのち雨。夕方、パラパラと小雨が降りだした。傘に落ちる雨雫の音を聞いていたら、ふと疲れたと声に出したくなった。
今日は疲れた。仕事上のトラブルがあり――といっても、私には何ら責任のない、青天の霹靂のようなものだが――先方への連絡や説明に日を費やした。己の起こした事態ではないという意識があればこそ粛々と進められたが、それでも疲労は積み重なった。
それらを一応は収拾し、帰途に就くころ、雨は降りだした。
昨日に続き冷寒だったから雨も冷たい。平生の私なら、雨の冷たさに文句のひとつも零すところだが、今日はトラブル対応である種の興奮と虚脱の状態にあったから、体に熱がこもっており雨も妙に心地好かった。
こういった冷たい雨を心地好く思う状況に際して、その感情の因果に思いを巡らせた折、私は、自身の疲労を声に出したくなったのである。
〇M・W・クレイヴン著/東野さやか訳『ストーンサークルの殺人』を読む。