〇晴れ。いよいよ寒い。少し前から冬用のモッズコートにマフラーという出で立ちで外出しているが、そこまで防寒してもなお寒さの骨身に染みる季節になった。
これ以上というと、もはやカイロ等の科学的暖に頼るしかない。が、まだ雪も降っていないのにカイロを使いだすようでは、これからの降雪の折には凍死必至である。
幸い、いまの寒さであればまだ瘦せ我慢が効くけれど、我慢にも限度がある。天気予報によれば、明日明後日あたりは雪が降るらしい。
〇津本陽『明治撃剣会』読了。明治期を舞台とした剣豪小説の短篇集。
どの話も面白いが、なかでも「孤独な武者振り」は良かった。短篇集のなかでもこの話だけは現代舞台の、おそらく著者の実見したものと思われる。
内容はあえて詳しく書かないが、昭和のころ、剣道試合で戦地仕込みと思われる「邪剣」を遣う剣士に、剣道の実力者たちが敗れる様を「私」は目にする。「私」はのち、敗者に「あの人はずいぶん強かったですね」と言うと、敗者は「剣道は強ければいいってもんじゃないんだ」と否定する――邪剣は邪剣でしかなく真に剣士たる資格はない、と。「私」はそれを敗者の持つ段位の値打ちが揺らぐから否定するのだと見る。
先に述べたように、おそらくこの話は著者の実見と思われる。にもかかわらず、こういう世界が現実にあるという事実が既に幻想じみているから面白い。