〇晴れ。祖母の新盆だった。身内一同で祖母の家に会し、御坊の経を聞いた。
祖母の家は暑い。何分古い家で、冷房はあっても冷気の通りが悪い。皆、ひたいに汗しつつ、南無阿弥陀仏という具合である。
〇御坊が経をあげ終った後、身内だけの食事会となった。よくゆく中華料理屋のオードブルなんかを買って食卓はそこそこ豪勢である。私は酒を飲まないから、黙々と海老マヨばかり食っていた。宴は酒精よりもうまい飯の並ぶほうが、私のような下戸には有難い。
〇宴も終り。最後に皆で正信偈をあげた。
最初に音をハズしたのはたれか。人間、マジメくさっている時ほど妙に笑えてくるもので、さっきの音はちがう、いやこれがウチの音だ、などと皆で笑いながら経を唱えた。
こういったやり方は、不信心の誹りを免れないだろうかとも思うのだが、故人にしても厳めしい顔で経を唱えられるのは御坊でじゅうぶんだろうから、身内くらいは朗らかにやったほうが聞き甲斐もあろうと思う。