〇曇り。厭な天気が続いている。厭な、といっても曇天がそうであるかは人によるだろうが、私には墨汁を落としたような黒雲が太陽光を遮り地上を薄ら暗くする様は厭なものに思える。
とまあ、今の時期の日記では、こんなふうに天気に文句ばかり言っている。おそらく私のような陰気な──非活動的な人間にとって春や夏という明るい季節はちょっと文句を付けたくなる魅力があるのだろう。
〇これは日記の性質というべきものだろうが、何かを述べようとするとき、それは批判を帯びてしまう。私としては日々の天気というものにそこまでのこだわりはないのに、後から思い出し思い出し日記を書くと、曇天とはいかにも厭な空模様であるというふうに。
晴れていようが曇っていようが雨であろうが、大抵の人にとっては生活の一部で特別何かを思うほどの文学的感傷は持たないのが常である。