〇曇。終日曇天、雨降りの直前様。あいかわらず冷房要らずの涼しい日だった。このぶんだと、今年の梅雨は少なくとも暑さからは解放されるのではないかと期待する。
予報によれば、あと十日もすれば今年の梅雨入りだという。――たった十日だが、十日もあれば、あらゆるものは一変する。
〇言葉を聞いた。
「我々からみれば、彼らはただもう人間の姿をした巨大な怪物である」
「世界最大の悪は、ごく平凡な人間がおこなう悪です。そんな人には動機もなく、信念も邪心も悪魔的な意図もない。人間であることを拒絶した者なのです。そしてこの現象を、私は『悪の凡庸さ』と名づけました」
「寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容たるべきでない」
陰惨極まる犯罪に限らず、凡庸な悪はどこにもある。結果の重大さを問わなければ、それは私にも、往来を行く人にも、花嫁にも、少年や少女にも、一片のそれがあるだろう。
「自己批判」とは少々におう言葉だが、しかし、それでも私たちは「自己批判」的な目を自身に向け続けなければならない。