〇晴れ。忙しかった一週間もついに終わった。残すは休日のみとなり、あとは家に籠り堕落していたいのが、そうもいかない事情がある。
父の誕生日が近い。来週の平日のことだから、できれば休日のうちに祝ってやりたい。贈り物は身内のことだから大仰にはしない。毎年、父と酒屋に行き、晩酌用の酒を一緒に選んで贈っている。――本来ならば私が選ぶべきなのだが、下戸が酒を選んだところでロクな結果にはならない。
週末は他にも予定があり、なんやかんやと家から出なければならず、ままならぬものである。
〇伊吹亜門『路地裏の二・二六』読了。面白かった。
昭和史、殊に昭和前期は常に紊乱を孕んでおり、これを舞台とする物語はそれだけで独特な緊張感がある。226前夜という題材、軍隊なる組織、歴史とは何であったか。そういった妙味を読みながら考える時間は愉快だった。また愉快といえば、作者の著作からゲスト出演する登場人物(あるいは名前)がチラホラ見えたのもいい。
最後の「動機」には少し考えさせられた。
作品世界での彼の立場と、物語が彼に与えた役割はべつである。だから、彼の立場――或いは、彼を含む当時の人間の孕む狂気をして――その思考は全き突拍子のないものとは思わない。大なり小なり皆狂っていた時代だろうから(あの自らをして傍観者とする山田風太郎であってもその熱狂からは逃れられなかったように)。
以上感想にもならない何かを書いた。種明かしは悪趣味だから、具体的にアレコレ書くつもりはない。