日記:2025年1月6日

〇雨。夕、急に酷く咳込んだ。一度出始めると止まらず、私は上下無く唯咳込むだけの木偶の坊となってしまう。
 咽頭炎になってから学んだ事の一つは、こういう時は何もせず、咳が止まるまでじつとしているのが一番良い。
 これは少々奇異な話になるが、私は咳が出たとき、父が旅先で買ってきてくれた金剛福寺の御守を握り締める。おそらく厄除け守りだと思うが、御守袋には金剛福寺、御守としか書いていないから、何の御利益があるのかは知らない。
 が、その御守は私の咳を止めてくれる。むろん、握れば覿面咳が止まるわけではない。咳が苦しい中、御守を握った手を胸に当てるようにして出来るだけ穏やかな呼吸をするよう心掛けると、いつのまにか息が楽になるのである。
 仏の御業とは言うまい。それは何の御守かも知らずかつ調べようともしない私にはあまりに畏れ多い。一連の動作が咳を止める効用を持つか、あるいは御守を持つという行為に伴う精神の安定による効用か、もしくはそのどちらもか。
 理屈は分からないし、この場合、分かる必要もない。
 その奇異な効用が、じつは虚のものであったとしても。御守は私の咳を止めてくれると、今の私は信じている。それでいいのである。

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