〇晴れ。当初の予定通り、父方の祖母の墓参に京都へ行った。
親鸞聖人眠る大谷本廟。その境内の無量寿堂に祖母の骨は納められている。
無量寿堂には、第一無量寿堂と骨数超過のため建てられた第二無量寿堂がある。風の噂によると、第二すらも満員になりつつあるというから、死の意外を思えば凄まじい話である。
〇黄泉平坂にてイザナミとイザナギは千引の岩を挟み対峙した、と『古事記』はしるす。
この対峙は、大岩に行く手をふさがれた追手のイザナミが「私は日に千人殺しましょう」と呪言を紡ぎ、対する逃手のイザナギが「ならば私は日に千五百の産屋を建てよう」と祝言で以て応酬する場面として有名である。
破滅と存続をやりあうさしもの二柱も、まさか死者を埋める墓穴が足りなくなって死者生者かかわらず困惑する日が来ようとは思わなかったに違いない。
二柱の応酬しかり、墓所空間の面積しかり。
事程左様に、この世のあらゆるものは、その有限性から逃れられない。