〇曇時々雨。何時ものことながら終日家でごろごろした。
〇TRPGの話。といっても、実プレイとは離れている。お話作りの部分に関係する。
『刑事をやるシナリオと聞いて参加したのに、フタを開けてみれば「正義とは何か?」を問われる内容で困惑した』という話題を見た。
――刑事もの!
魅惑的な響きである。小説やドラマ、映画でも有名作を挙げればキリがないジャンルで、また、刑事ものは大抵「バディもの」の意味も含んでおり、昨今の流行からもそういう方向性が期待されるのは想像に難くない。
さて、その刑事もののシナリオの内容が、想像していたものと違ったという。
クライムサスペンス――社会正義を掲げる刑事(主人公)が、社会秩序を乱す悪を打倒し、社会のあるべき姿を取りもどす物語――を想像していたところ、ディストピア――現体制の在り方や、体制に属する自己の正義に疑問を呈し、己の依って立つべきものとは何かを問われる物語――が出てきたわけである。
これは要するに、作中で扱われる主題が違う。
前者が主題としているのは善悪の対立であるのに対して、後者は正義とは何かという哲学的問いが主題となっている。
刑事ものというからには、依って立つのが社会正義なのは前提である。これは法といってもいい。前提だから、そこに疑問は挟まれない。正義と対峙する悪は社会秩序の破壊者であり、これを打倒して法の下に裁き、社会のあるべき姿を回復することが期待される。
それなのに、自己の依って立つ正義(法)の正当性を問われれば、プレイヤーは困惑するしかない。こういった問いは発生しても、悪側の身勝手な屁理屈として一蹴される程度のものに済ませるのが穏当である。
より突っ込むなら、キャラクターを貫通してプレイヤーの正義や倫理観を試すような娯楽は、合意が無ければ無粋でしかない。