日記:2024年7月29日

〇登山漫画を読んでいたら「ステーションビバーク」という言葉が出てきた。
 ステーションビバーク、または駅寝とは、登山愛好家の用語で、文字どおり鉄道駅の構内や駅前を宿泊地として利用することを指す。当然、駅舎は宿泊施設ではないので、ステーションビバークは施設の目的外利用にあたり不法侵入となるのだが、「施設側の厚意によって赦されている」という。
 登山において日中の限られた時間は貴重であることから、山に近い駅で寝、夜明けと共に行動し、山行を効率化するということだが、最大の利点は宿泊費の節約にあるらしい。
 漫画では実態がわからないので、ステーションビバークで検索した。するとステーションビバークについて書かれたブログがいくつか出てきた。それらを読んでいて思ったのだが、どうもこれは『貧すれば鈍する』という話に思えてならない。
 というのも、読んだかぎり、ある種の反骨精神を誇る風があるように思えるのである。
『これから大自然に挑む登山家たるもの、その前段階において温かな宿になぞ泊まるべきではない』というショった意識が、文章から透けている。しかし、その本質は『カネがない』の一事である。
 それなのに、駅員に注意されたことの不満を書いたり、「登山家でない者に、このロマンは理解できない」などと宣っている。
 この、秩序の屋根に守られていながら、反秩序を謳う白々しさはいただけない。

〇卑小な本音を秘そうとするとき、人は雄弁になる。

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