〇晴れかつ花粉芬々。往来の人も装いを変える暖かさである。これで天気予報を見れば来週から気温が一気に下がるというのだからふしぎだ。もはや寒暖で春の気配とも言えないが、しかし、私はそれ以外のところで春の気配とやらを感じた。
虫が湧いた。といっても別に暗く湿った岩の裏に湧いたということではない。道を歩いていると、川や水路の近くで小さな虫が翩々と飛んでいるのを見かけるようになった。虫といえば、昨秋はカメムシが大量発生し、やがて寒気の到来とともに自然消滅していったが、これはその逆の現象といえる。
とかく生命が活気づき始めている。虫に限らず、木々に目を遣れば早咲の梅には可憐な薄桃の花が見られるし、桜の木の枝には小さな蕾を見ることができる。
〇近所の高校から学校説明会を終えた学生と親御さんの集団が帰るのを見かけた。虫や花のみならず、町は春を迎える準備を着々と進めている。
彼らを見ていたら、父親連れが皆無なのに気づいた。もちろん平日だからというのはあるが、昔も今もこういう行事に付添うのは母親であるらしい。